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こんにちは。院長の廣神です。

今回は、「骨粗鬆症の治療を受けているけれど、インプラント治療を受けることはできるのでしょうか?」というご質問についてお話しします。

骨粗鬆症でもインプラントはできる? インプラント手術の様子と骨の構造

特に、

という方には、ぜひ知っておいていただきたい内容です。

当院では、実際に骨粗鬆症の治療を受けている患者さんに対して、インプラント治療を行っています。そして当院では基本的に、インプラント治療を行うために骨粗鬆症のお薬を一律にお休みいただく、という考え方はとっていません。

では、なぜそのような方針をとっているのでしょうか。現在発表されている研究や国際的な専門家によるコンセンサスをもとに、分かりやすくご説明します。

骨粗鬆症のお薬とインプラント

まず、骨粗鬆症のお薬について簡単にお話ししましょう。

骨粗鬆症では、骨の量や質が低下することで、骨折しやすくなることがあります。そこで、骨を健康に保ち、骨折を予防するために、さまざまなお薬が使われています。

その一つが、デノスマブです。

デノスマブは、骨が過剰に吸収されるのを抑えることで、骨密度を改善し、骨折のリスクを下げる目的で使用されています。骨粗鬆症の患者さんにとって、大切な治療の一つです。

そのため「インプラントをするから、お薬をいったんお休みしましょう」と簡単に考えるのではなく、骨粗鬆症の治療を続けることのメリットも含めて考えることが大切です。

なぜ歯科ではお薬について確認するのか

歯科治療の中には、顎の骨に関係する処置があります。インプラント治療もその一つです。

インプラントでは、顎の骨の中にインプラントを埋め込み、その後、骨とインプラントがしっかりと結合していくことを目指します。このため、「骨の状態はどうなのか?」「治療後の経過はどうか?」ということを確認することが大切になります。

また、骨粗鬆症の治療に使用されるお薬の中には、骨の代謝に作用するものがあります。そのため、インプラント治療を行う際には、現在どのようなお薬を使っているのかという情報を歯科医師が把握しておくことが大切です。

MRONJ(薬剤関連顎骨壊死)について

骨粗鬆症のお薬について調べていると、「MRONJ」という言葉を目にすることがあります。

MRONJとは、「薬剤関連顎骨壊死」のことです。顎の骨が露出した状態が続いたり、抜歯などの処置のあと骨が治りにくくなったりする状態を指します。多くはありませんが、重症化した場合には外科的な処置が必要になることもあります。

ただし、骨粗鬆症の治療量で抗骨吸収薬を使用している場合、MRONJの発生頻度は低いと報告されています。そして、インプラント治療を受けたからといって、必ずこのような問題が起こるというものでもありません。

現在の研究では、骨粗鬆症患者さんに対するインプラント治療について、抗骨吸収薬を使用しているという理由だけで治療を避けるべきだという明確な結論にはなっていません。

2025年に国際顎骨壊死タスクフォース(International ONJ Taskforce)が発表したコンセンサス・ステートメント(Ali DS ほか, Endocrine Practice 2025;31(5):686-698)でも、骨粗鬆症で抗骨吸収薬による治療を受けている患者さんについて、インプラント埋入の前に抗骨吸収薬を中止する必要はない、という考え方が示されています。ただしこれは、根拠となる研究の質が高いとはいえないことを前提とした「弱い推奨」とされています。

ただし、この分野はまだ研究の蓄積が十分とはいえないため、患者さん一人ひとりの状態を確認しながら判断することが大切です。

なお、お薬を続けるか中止するかの判断は、必ず骨粗鬆症の主治医の先生が行います。ご自身の判断で中断なさらないでください。

当院は治療を続けながらインプラントを検討します

ここからは、実際に当院でどのように考えているかについてお話しします。

当院では、「骨粗鬆症のお薬を使っているから、インプラントはできません」というような一律の判断は行っていません。患者さんの状態を確認した上で、インプラント治療を検討しています。

また、基本的には、インプラント治療のために骨粗鬆症のお薬を一律にお休みいただくことはしていません。その理由は、骨粗鬆症の治療そのものにも大切な意味があるからです。

特にデノスマブについては、自己判断で中止したり次の投与が遅れたりすると、骨密度が急速に低下し、かえって骨折のリスクが高まることが知られています。そのため、治療の中断についても主治医の先生による適切な管理が必要になります。そのため、歯科治療だけを考えてお薬を調整するのではなく、歯科と骨粗鬆症の主治医の先生が連携して考えることが重要です。

当院では何を確認しているの?

では、実際に当院でインプラント治療を検討するときには、どのようなことを確認するのでしょうか。

まず確認するのは、現在のお薬です。

そして、過去のお薬についても確認します。

例えば「今はデノスマブだけれど、以前はビスフォスフォネートを使用していました」という方もいらっしゃいます。そのため、現在のお薬だけではなく、これまでの治療歴も含めて確認することが大切です。

お薬手帳をお持ちの方は、ぜひ診察の際にお持ちください。

お口の中の状態も大切です

もう一つ、当院が大切にしているのが、お口の中の健康状態です。

インプラント治療では、インプラントを埋め込むことだけではなく、その後のお口の環境を良好に保つことが重要です。特に歯周病がある場合や、インプラントの周囲に炎症がある場合には、まずその状態を整えることを考えます。

インプラントの周囲にプラークがたまると、歯ぐきに炎症が起こることがあります。これが進行すると、インプラントを支えている骨にも影響することがあります。

そのため、インプラントを長く使っていただくためには、毎日の歯磨きと定期的なメインテナンスがとても重要です。これは骨粗鬆症のお薬を使用しているかどうかにかかわらず、インプラント治療を受けるすべての患者さんに共通する大切なポイントです。

すでにインプラントが入っている方へ

ここで、すでにインプラント治療を受けている患者さんについてもお話しします。

例えば「以前インプラントを入れました。その後、骨粗鬆症の治療を始めました」という場合です。

このような場合も、「骨粗鬆症の薬を始めたから、インプラントをどうにかしなければいけない」と考える必要はありません。まずは現在のインプラントの状態を確認しましょう。

こうしたことを確認しながら、長くインプラントを維持していくことが大切です。

「いつインプラントを入れたのか」も確認します

もう一つ重要なのが、インプラントを埋め込んだ時期と、骨粗鬆症のお薬を始めた時期の関係です。

インプラントを入れた後に骨粗鬆症の治療を始めた方。一方で、すでに骨粗鬆症の治療を受けている状態で、これからインプラントを予定している方。この2つでは、治療を考える際に確認するポイントが少し異なります。

最近の研究では、このような治療の時期についても検討されています。ただし、現在のところ、どちらが明確に優れていると断定できるほど十分な研究があるわけではありません。

だからこそ当院では、「薬を使っているから一律にインプラントを避ける」というのではなく、患者さんの治療歴や現在のお口の状態を確認しながら、個別に治療計画を考えています。

当院が大切にしていること

当院では、インプラント治療を「インプラントを入れたら終わり」とは考えていません。インプラントを入れた後も、長く快適に使っていただくことを目指します。

そのためには、

こうした積み重ねが大切です。

骨粗鬆症の治療は長期間続くこともあります。治療中にお薬が変わることもあるでしょう。そのような場合には、「お薬が変わりました」と歯科医院にも教えてください。

歯科と全身の治療を一緒に考えていくことで、より安心して治療を続けていただけると考えています。

お薬は自己判断で変更しないでください

重要なお願い

インプラント治療を予定している場合でも、骨粗鬆症のお薬を自己判断で中止したり、投与時期を変更したりしないでください。

お薬について変更を検討する必要がある場合には、骨粗鬆症を診ている主治医の先生と相談して決めていきます。

歯科医師と主治医の先生、それぞれの専門的な立場から患者さんの治療を考えることが大切です。

あきらめる必要はありません

「骨粗鬆症の治療を受けている=インプラント治療を受けられない」ではない、ということです。

現在の研究では、骨粗鬆症患者さんにおいて、抗骨吸収薬を使用していることだけを理由として、インプラント治療を一律に避けるべきだという十分な根拠はありません。前述の2025年の国際コンセンサス・ステートメントでも、インプラント埋入の前に抗骨吸収薬を一律に中止する必要はないという考え方が示されています(弱い推奨)。

当院でも、このような現在の研究結果を参考にしながら、骨粗鬆症の治療を続けている患者さんに対してインプラント治療を行っています。

もちろん、患者さんによって状態は異なります。だからこそ、「薬を使っているからできない」ではなく、「現在の状態ならどのような治療が適しているのか」という視点で考えることが大切だと考えています。


もし、

という方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。

ご来院の際には、お薬手帳をお持ちいただくことをおすすめします。現在のお薬だけでなく、これまでのお薬の情報も、治療計画を考える上で参考になります。

当院では、患者さんのお口の状態だけを見るのではなく、全身の治療状況も含めて、インプラント治療を考えていきます。

インプラント治療の詳細はインプラント治療のページで、費用については料金表でご案内しています。

※ インプラント治療は公的医療保険適用外の自費診療です。費用は1本あたり607,000〜827,000円(税込・上部構造を含む)で、下限はインプラント体440,000円+上部構造167,000円、上限はこれにサイナスリフト(上顎洞底挙上術)220,000円を加えた場合の金額です。GBR(骨再生誘導法)165,000円などの追加処置が必要な場合は、別途費用がかかります。詳細は料金表をご覧ください。

※ 治療期間の目安は、インプラント埋入後に骨と結合するまで3〜6か月程度で、骨造成を伴う場合はさらに期間を要します。通院回数は、診査・診断から上部構造の装着まで概ね6〜10回程度ですが、お口の状態や処置内容により変動します。治療後は定期的なメインテナンスのための通院が継続して必要です。

※ 外科処置を伴うため、腫れ・痛み・出血・内出血・感染などが生じることがあります。まれに神経や血管の損傷、上顎洞への影響が起こる可能性があります。また、骨とインプラントが結合しない場合や、治療後にインプラント周囲炎を生じる場合があります。

※ 抗骨吸収薬を使用中の方では、薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)が生じる可能性を否定できません。発生頻度は低いと報告されていますが、リスクがゼロになるわけではありません。適応の可否は、骨粗鬆症の主治医の先生との連携のもと、診察・画像検査を行ったうえで個別に判断いたします。

※ 治療の効果や経過には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるものではありません。治療後は定期的なメインテナンスが必要です。

廣神 崇史

院長

群馬県高崎市出身。2014年日本歯科大学生命歯学部卒業。大学病院での研修後、アメリカやドイツでインプラント研修を重ねる。ベトナムでのボランティア活動を通じて社会貢献にも取り組む。「ドクターひろかみん.」としてYouTube・TikTok・Xでも活動中。

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