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本日、第一大臼歯に対して歯根端切除術を行いました。

歯の根の中に感染が起こった場合、まず行うのが「感染根管治療(根管治療)」です。根管の中をしっかりと清掃・消毒し、感染源を取り除くことで、多くの場合は根の先にできた炎症(根尖病変)も少しずつ改善していきます。

しかし、丁寧に治療を行っても、なかなか炎症が改善しないケースがあります。今日はそのようなケースに対する選択肢のひとつ、「歯根端切除術」についてお話しします。

なぜ根管治療をしても炎症が治らないことがあるのか

根管治療は、歯の内部(根管)にアプローチして感染源を除去する治療です。多くのケースはこれで十分に改善しますが、なかにはそれだけでは炎症が引かない歯も存在します。

その理由のひとつとして指摘されているのが、感染が根管の外側(根尖の外部)にまで広がってしまっている状態です。根の先端の外側で細菌がバイオフィルムを形成していたり、根尖に真性嚢胞ができていたり、あるいは体内に取り込まれた異物に対する炎症反応が起きていたりすると、根管の中をどれだけ清掃しても、根管治療だけでは炎症の原因を取り除ききれないことがあると報告されています[1]。

このような場合、根管の外側に残っている炎症の原因そのものに、外科的にアプローチする必要が出てきます。それが歯根端切除術です。

歯根端切除術とは

歯根端切除術では、歯ぐきからアプローチして、根の先にある炎症組織を直接取り除き、感染の原因となっている根の先端部分を切除します。必要に応じて、切除した根の断面を専用の器具で処置し、感染源を封鎖します。

「根管治療をしたのに、また腫れてきた」

「痛みや違和感がなかなか取れない」

「抜歯と言われたけれど、できれば歯を残したい」

このようなお悩みをお持ちの方は少なくありません。ですが、すぐに「抜歯しかない」と決めつけるのではなく、なぜ炎症が残っているのかを診断し、歯を残すための選択肢を検討することが大切だと考えています。

エビデンスから見る歯根端切除術の治療成績

歯根端切除術の成功率については、これまで数多くの研究が報告されてきました。中でも重要なのが、2010年に発表された系統的レビュー・メタアナリシスです。この研究では、従来型の歯根端切除術(拡大鏡や顕微鏡を用いない手技)の治癒率が59%だったのに対し、マイクロスコープや超音波チップなどを用いた精密な手技(歯内療法用マイクロサージェリー)では治癒率が94%にまで向上したと報告されています[2]。

つまり、同じ「歯根端切除術」という処置名であっても、どのような器具・技術で行うかによって治療成績には大きな差が生じるということです。この結果は、精密さを追求する意義を裏付ける重要なデータだと考えています。

また、根の先端を封鎖する材料についても報告があり、生体親和性の高い逆根管充填材料を用いた場合の治癒率は90%を超える一方、旧来型の材料では50%程度にとどまったとするデータもあります[3]。使用する材料や技術の選択が、治療成績に直結することがうかがえます。

特に奥歯は精密な処置が求められる理由

特に奥歯(大臼歯)は、根の数が複数あるうえに形が複雑で、根管が枝分かれしていたり、根同士の間に「イスムス」と呼ばれる溝状の構造があったりすることが知られています。加えて、治療する部位そのものが口の奥にあり、肉眼では十分に見えにくいという課題もあります。

そのため奥歯の歯根端切除術では、より精密な診断と処置が求められます。

そこで宇宙歯科クリニックでは、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用した精密な治療を行っています。肉眼では確認しにくい細かな部分まで拡大して見ることで、根の先や周囲の状態をできる限り正確に把握し、必要な処置を過不足なく行うことを心がけています。

すべてのケースに歯根端切除術が適応となるわけではない

ここで大切にお伝えしたいのは、歯根端切除術が万能の治療法ではないということです。

海外の系統的レビューでは、外科的治療は術後2〜4年程度の比較的短い期間では良好な成績を示す一方、4〜6年といった長期の経過観察では、条件によっては非外科的な再根管治療のほうが安定した成績を示したとする報告もあります[4]。つまり、「外科的に取り除けば必ず解決する」という単純な話ではなく、歯の状態や炎症の範囲によっては、根管治療のやり直し(再根管治療)のほうが適している場合もあるのです。

歯の状態、根の形、炎症の範囲、歯周組織の状態などを総合的に確認したうえで、どの治療法がその歯にとって最も良い選択肢なのかを見極めることが重要です。

宇宙歯科クリニックが大切にしていること

大切なのは、患者さんにとってできるだけ良い選択肢を一緒に考えることです。

宇宙歯科クリニックでは、「どうすればこの歯を残せるのか」まで考えた精密な歯科治療を大切にしています。日本歯内療法学会の診療ガイドライン[5]も踏まえながら、一人ひとりの歯の状態に合わせた診断・治療方針をご提案しています。

「もう抜くしかないのかな」と悩んでいる方も、まずは一度ご相談ください。西葛西で根管治療・歯根端切除術をお考えの方は、宇宙歯科クリニックまでお気軽にお問い合わせください。

参考文献

  1. Nair PNR. On the Causes of Persistent Apical Periodontitis: A Review. Int Endod J. 2006;39(4):249-281.
  2. Setzer FC, Kohli MR, Shah SB, Karabucak B, Kim S. Outcome of Endodontic Surgery: A Meta-analysis of the Literature—Part 1: Comparison of Traditional Root-end Surgery and Endodontic Microsurgery. J Endod. 2010;36(11):1757-1765.
  3. von Arx T, Jensen SS, Hanni S, Friedman S. Prognostic Factors in Apical Surgery with Root-end Filling: A Meta-analysis. J Endod. 2010;36(6):957-973.
  4. Torabinejad M, Corr R, Handysides R, Shabahang S. Outcomes of Nonsurgical Retreatment and Endodontic Surgery: A Systematic Review. J Endod. 2009;35(7):930-937.
  5. 日本歯内療法学会「歯内療法診療ガイドライン」2020年6月発行。

平沼 貴大

歯科医師

JIOS(日本包括的矯正歯科学会)理事。日本臨床歯科学会(東京SJCD)、日本顕微鏡歯科学会、日本歯内療法学会、日本臨床歯周病学会、日本顎咬合学会。根管治療を極めることを決意し、日本歯科界の第一人者である綿引淳一氏の元で研鑽を積む。

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廣神 崇史

院長

群馬県高崎市出身。2014年日本歯科大学生命歯学部卒業。大学病院での研修後、アメリカやドイツでインプラント研修を重ねる。ベトナムでのボランティア活動を通じて社会貢献にも取り組む。「ドクターひろかみん.」としてYouTube・TikTok・Xでも活動中。

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